かわいい!


咄嗟に声をかけようと思ったが、男子生徒の顔が視界に入って思いとどまった。


子猫の頭をなでているのは氷王子だったのだ。


氷王子は柔らかくほほえみ、子猫をなでている。


「ミルクはもういらないのか?」


そう尋ねる表情はとても氷王子には見えない。


よく見ると氷王子の足元にはミルクの入った小皿が置かれている。


子猫に餌をあげてたんだ……。


その様子に胸の奥がキュッと狭くなった気がして自分の胸に手を当てる。


少しだけ心臓がドキドキしているのは気のせいだろうか?


とにかく邪魔をしちゃ悪い。


そう思い、私はそっと空き地から出たのだった。