「私のことはいいよ。じゃ、また明日ね聖也」


「え、おい、ちょっと!」


聖也が引き止める声は聞こえないフリをして教室を出る。


早足で昇降口までやってきて、ようやく足を止めた。


少し息が切れてジワリと汗が滲んで出てきている。


私は額の汗を手の甲でぬぐい、さっきの3人組の様子を思い出していた。


真ん中に立っていたあの子。


間違いなくこれから聖也に大切なことを打ち明けるようだった。


両側に立っていた子たちはあの子の友人で、付き添ってもらってきたんだろう。


思い出すと少しだけ胸が痛む。


今から聖也はあの子に告白をされる。


なんて答えるんだろう……。


「美奈子、見てたよ」


そんな声に振り返るとそこには腕組みをした若葉が立っていた。


「あれ、ほっといていいの?」


「だって、邪魔しちゃ悪いし……」


あの子は決死の覚悟で告白を決めたと思う。


それを私なんかが邪魔していいわけがない。