「あぁ、誘われたけど、断った」


「そうなんだ」


聖也の言葉にほんの少しがっかりして、同時に安心している自分がいた。


バスケ部なんかに入ったら聖也の人気はもっと右肩上がりになってくだろう。


そうなると今よりももっとファンが増えてしまう。


それのなにが嫌なのかと聞かれると、答えられないのだけれどなんとなく胸の奥がモヤモヤとした気分になってしまうのだ。


「聖也くん、ちょっといい?」


教室で立ち話をしているところ後ろからそう声をかけられた。


振り向くとそこには見たことのない女子生徒3人組が立っていて、チラチラと私の方を気にしている。


「今はちょっと」


聖也が冷たい声で言うと女子生徒3人が少しだけ萎縮するのがわかった。


特に真ん中に立っている女の子は赤い顔をしてうつむき、どうすればいいのかわからない様子だ。


これは……。


事情を察知した私は満面の笑みを彼女たちへ向けた。