事務所で話をした翌日。
私たちは電車でショッピングモールへ。
「電車、満員だったね」
「やっぱり夏休み近いからかな」
類と蓮も来るだけでぐったりしてる。
そして中も結構、人がいる。
(電車広告STEPばかりだったな)
「なにか映画みる?」
類の提案で私たちは隣にある映画館に
移動した。

「なに見る?」
案の定、意見はバラバラで。
私は純愛アニメ
蓮はバトルアニメ
雪希はホラーアニメ
類はミステリーアニメ
「雪希がホラーって意外だね」
「え、そう?」
雪希はパンフレットを見ながら答えた。
「どうする?個々で見ようとしたらかなり
時間がバラつくけど。」
「2人ずつに分かれる?」
「まぁ、それが妥当だよね」
類の問いかけに雪希が提案して蓮が賛同する
(とんとん拍子だな)

話し合いの結果、私と類でミステリーアニメ
蓮と雪希でホラーアニメに決まった。
これが後にちょっとした騒動を引き起こす引き金になるなんて思いもしなかった。

チケットを取り、私と類が先に館内に入る。
階段を登っていると
(ん?司さんに似た人がいたような。
まぁ気のせいだよね)
不思議に思いながら私は席に座る。
約10分の本編前の予告を見て
本編が始まる。

この話は福引で当たったリゾート旅行に
来ていた主人公が、殺人事件が起こり周囲
から犯人だと決めつけられる。
身の潔白の証明と真犯人を探す、
という話だ。

私はなにも考えないで見ていたが、
チラッと類を見るとかなり真剣な表情で
見ていた。

終盤で伏線を一気に回収したのは
気持ちが良かった。冒頭でも伏線が貼られていたことには予想外だった。
そして主人公は真犯人を炙り出し
リゾート地を後にした。
エンディングが流れ館内が明るくなる。
約2時間の上映が終わり
ロビーに移動するとまだ2人は居なかった。

(まぁ私たちが先に入ったから
当たり前だけど)
類はトイレに行ってくると言い、私はその場で立ってスマホをいじりながら待っていた。
しかしいつまで待っても類は
戻ってこなかった、
(混んでるのかな、でも映画終わった後だから空いてると思うんだけど)

様子を見に行こうとトイレに行くと
類と知らない女の子がいた。
静かに近づいていくと、逆ナンされていた。
(アイドルの卵によく勇気あるな。)
「あの、類」
「あ、舞」
私に気づいて困り顔だった類は顔は安心したのか顔を綻ばせた。
振り向いた女の子は
「え、コイツが彼女?このブスが?」
女の子は顔を引き攣らせてた。
あからさまに不機嫌だ。

(思っててもそういうのは失礼じゃない?
まぁ私、可愛くないけど)
「ごめんね、俺なんかが君には釣り合わないよ。悪いけど、他を当たってくれる?」
類は困り顔でそう言って女の子を避け
私の手を引く。
「諦めないわよ」