「げ、」
蓮は一瞬顔を歪める。
フリフリのメイド服を着て、両サイドにリボンがついているカチューシャをつけている。
「やっほー」
「かわいいよ、蓮」
(2人とも面白がってるな)
「お、おかえりなさいませ、ご主人様」
引き攣りそうな顔で接客をする。

((うわ、舞と同じ反応))

席に案内され、椅子に座ると
「ご注文がお決まりになりましたら、
お呼びください。」
そう言って蓮は下がっていった。
「へぇ、ここはランチとドリンクだけ
なんだ」
「ランチだったらメイド喫茶、
デザートだったら執事喫茶ってことかな」
「家庭科室使用の争奪戦があってさ、
うちのクラスはうまい具合に
丸め込まれちゃったんだよね」
舞はため息つきながらそう言った。
「まぁ、先輩相手だしね」
雪希が苦笑すると
「2人とも決まった?」
類がメニューを倒す。
「私は決まった」
「僕も」
ちょうど蓮が近くを通ったので、呼び止める
「あの、注文いいかな?」
「喜んで、ご主人様♡」
(((諦めたな)))

私たちはそれぞれ指さす。
「えっと、トロフワたまごのきゃわいい 
絵文字オムライス、天使の雫の
レモンソーダ、あたりはどれかな?ロシアンたこ焼きでよろしいですね」
私たちが頷くと、
「ご注文ありがとうございます、少々
お待ちください」
と、終始笑顔で席を離れた。

数分後、蓮は銀のトレーを持ってきた。
「先にあたりはどれかな?ロシアンたこ焼きと天使の雫のレモンソーダを置かせていただきます。」
私の前にレモンソーダ、雪希の前にたこ焼きが置かれる。
「オムライスに僭越ながらお絵かきさせて
戴きます。」
ケチャップで何かを書き、類の前に差し出す
ニコニコ顔には似合わない
かえれ💢という文字。
「ひどくご立腹のようだ」
類は苦笑しながらオムライスを食べる。
「うまっ」
顔を綻ばせ食べ続ける。
「舞は食べなくていいの?」
「私は燕尾服汚したくないし、匂いつくのもね、まだこの後も出るし」
「ふーん」
雪希はたこ焼きを一つ食べ、
「あ、美味しい」
と呟く。

レモンソーダを飲み、
「舞レモンソーダ、一口ちょうだい」
「?いいけど」
私はグラスを雪希の方に置く。
ストローに口をつけ、本当に一口だけだ。
「ありがとう」
「もう少し飲んでもよかったのに」
「いや、いいよ」
私の視線はたこ焼きに行く。
「一個、もらっていい?」
「ん?いいよ」
雪希は割り箸でたこ焼きを掴み、
舞に向ける。髪を耳にかけ
たこ焼きを食べる。
飲み込んでから、
「ありがとう、美味しいね」

それを見る類は複雑そうだった。