「結、どうしよう」


挨拶を無視して加菜子が駆け寄ってくる。


腕を掴まれたが、加菜子の手がかすかに震えていることがわかった。


嫌な予感は今や確信へと変わろうとしていた。


私は加菜子に腕を掴まれて和の元へと近づいた。


和はなにも言わずに私にスマホ画面を見せてくる。


途端に強い吐き気を感じて右手で口を覆った。


朝ごはんがすぐ喉の奥まで迫ってきている感じがする。


どうにか吐かないように気をつけながら和のスマホ画面を見つめる。


そこに表示されていたのは和の姿だった。


ただ普通の写真と違うのは、写真の中の和はすでに死んでいるということだった。


写真の中の和はどこかで首を吊り、虚空を見つめている。


首は伸び切って筋が出来、口からは内容物が中途半端に吐き出されいる。


マジマジと見てしまってすぐに視線をそらすが、その衝撃的な映像は脳裏にこびりついてしまったそう簡単には離れない。


「朝起きたら、来てたんだ」


和の声が震えている。


いつものヤンチャな様子は鳴りを潜めて、今は恐怖に抱きかかえられた赤子のようだ。


なにも言えずにいると足音が近づいてきて肩を叩かれた。