次の登校日は正直少し気が重かった。


アコが死んで一週間ほどになるがなんの進展もないし、裕之と顔を合わせることも気が重たくなる原因のひとつだった。


私を攻めるようなメッセージには返信していない。


あれ以来、裕之からのメッセージも途絶えていた。


「言ってきます」


暗い気持ちを吐き出すように母親へ告げて家を出た。

朝晩の寒さは相変わらずで、秋の薄い雲が頭上に広がっている。

本来なら夏のうだるような暑さがひいてホッと一息つく頃だけれど、とてもそんな気分にはなれないまま、学校に到着していた。


どれだけ気が重たくても足は慣れた道を自然と歩いてしまうもので、今日だけは人間の高性能さを呪った。


トロトロといつもより時間をかけて教室へ向かうとすでに和と加菜子が登校してきていた。


ふたりとも深刻な表情でなにか話し込んでいる。


なんだか嫌な予感がする。


吸い込んだ空気が肺に到達する前に濁り、檻を作ったような感覚がして少し咳き込んだ。


その声を聞いて加菜子が視線をこちらへ向ける。


和が青ざめた顔でこちらを向いたが、すぐに手にしているスマホに視線を落とした。


「ふたりとも、おはよう」


なんでもない声で挨拶しようとしたけれど、喉に声が張り付いて掠れてしまった。