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女子生徒が怪訝な顔を向けてサッカー部顧問の元へ駆けていくのを見て、私達はすぐにその場を後にした。


「やっぱり、他にも沢山被害者がいるみたいだね」


バス停へと歩きながら加菜子がつぶやく。


その顔は青ざめていた。


「生徒会長だった子も回避できずに、死んでる。○○高校の子たちも、回避する方法を知らないのかも」


一番被害が大きいと思われる○○高校でもわからないことを、私達がわかるはずがない。


それなら一体どうすればいいのか……。


「もう少しなにか聞き出せたんじゃねぇか?」


数歩後ろで和が不服そうにつぶやく。


すぐに撤退したために情報が不十分に終わってしまって、不機嫌そうだ。


和にしてみれば好きだったアコの死の真相を、一日でも、一秒でも早く解き明かしたいのだろう。


だけど、あのままグラウンドに残っていれば自分たちが他校生だとバレてしまっていた。


そうなると○○高校への偵察が更に難しくなってしまう。


それから私達はもう1度ネットやSNSを駆使して調べものをしながら、自分たちの街へと戻ってきた。


移動時間に40分はかかるからこれだけであっという間に日が暮れてしまう。


「結局回避方法は今日もわからねぇままか」


夕暮れの迫る街に降り立った和はそうつぶやき、挨拶もせずに去っていったのだった。