死体写真

後悔するように舌打ちをして、苛立ちを押さえるために指先でせわしなく机を叩く。


「そうだよね。メールはただのメールなんだもんね」


アコにはきっと別に悩みがあったに違いない。


私達に言えないような悩みをひとりで抱えていて、それが爆発してしまったのだ。


そう考えるのが一番妥当だった。


そうなるとアコの悩みに気がつかなかったことが悔やまれるけれど、起きてしまったことはどうしようもない。


時間を遡ることはできないのだから。


せっかくの休憩時間でも、今日はにぎやかな笑い声が聞こえてくることはなかった。


他のクラスや学年でも真面目に登校している生徒は少ないようで、大半の生徒たちが今朝の騒動の中帰宅してしまっていた。


そして、放課後になっていた。


和はあのまま帰ってしまったようで、後か『今日は早退する』とだけ、裕之に連絡が来ていた。


「今日は大変な騒ぎがあったけど……」


担任の女性教師が教卓に立ち神妙な面持ちで残っている生徒たちを見つめる。


その目は少し赤く腫れていて、泣いていたのだとわかった。


「つい今しがた、川口さんは病院で息をひきとりました」


その声はとても小さくて聞き取るのもやっとだった。