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飯沢高校2年A組に入っていくと侵入の山本加菜子がすぐに駆け寄ってきた。


加菜子はぽっちゃりしたタイプでそばにいるだけで癒やされる。


普段からニコニコとよく笑うタイプで、笑うとエクボができてなおさらマスコット的な可愛さを醸し出している。


そんな加菜子が今日は深刻そうな表情をしている。


眉間に寄せられてシワを見て私は「どうしたの?」と、声をかけた。


「今朝のニュース見た?」


そのひとことでなにが話題になっているのかすぐに理解した。


「また隣町の自殺?」


加菜子はうんうんと何度も頷く。


加菜子は隣街に友人が多いらしく、自殺ニュースに関しては前から気にかけている。


「ちょっと多くない?」


加菜子の言葉に今度は私が頷いた。


たしかに多いと思う。


全国の自殺者は年間2万人に登るらしいけれど、それにしてもこれだけ立て続けにしかも隣町の高校生に集中しているのは気になる。