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ようやく教室へ入ることができるようになったとき、アコの体はすでに搬送され、アコが落下したであろう地点には立ち入り禁止の黄色いテープが張り巡らされていた。
ただそれだけの光景だったのに、私の胸には重たくのしかかってくる。
教室へ入った頃には半数の生徒たちが帰宅しており、教室内には静けさが漂っていた。
「結」
声をかけてきたのは裕之だ。
裕之もあの喧騒の中でアコが飛び降りたことを聞いているはずだった。
「裕之……」
名前を呼びあったものの、次に発する言葉を思いつかない。
「アコは大丈夫なんだよな? 病院に行ったんだよな?」
言葉をなくしてしまった私達の間に割って入ってきたのは蒼白顔の和だった。
和はせわしくなく教室内を眺め回していて、まるでアコの姿を探しているようだ。
「そ、そんなの大丈夫に決まってるじゃん」
強く言ったつもりだったけれど、声が裏返ってしまってほとんど声量がでていなかった。
加菜子が説明してくれたことを聞く限りでは、アコが無事であったとは思いにくい。
アコが落下した地点はコンクリートで固められており、屋上から落ちて平気でいられるような場所ではなかった。
それは和もわかっているはずだけれど、大丈夫だと口に出さないと精神的におかしくなってしまいそうなのかもしれない。
ようやく教室へ入ることができるようになったとき、アコの体はすでに搬送され、アコが落下したであろう地点には立ち入り禁止の黄色いテープが張り巡らされていた。
ただそれだけの光景だったのに、私の胸には重たくのしかかってくる。
教室へ入った頃には半数の生徒たちが帰宅しており、教室内には静けさが漂っていた。
「結」
声をかけてきたのは裕之だ。
裕之もあの喧騒の中でアコが飛び降りたことを聞いているはずだった。
「裕之……」
名前を呼びあったものの、次に発する言葉を思いつかない。
「アコは大丈夫なんだよな? 病院に行ったんだよな?」
言葉をなくしてしまった私達の間に割って入ってきたのは蒼白顔の和だった。
和はせわしくなく教室内を眺め回していて、まるでアコの姿を探しているようだ。
「そ、そんなの大丈夫に決まってるじゃん」
強く言ったつもりだったけれど、声が裏返ってしまってほとんど声量がでていなかった。
加菜子が説明してくれたことを聞く限りでは、アコが無事であったとは思いにくい。
アコが落下した地点はコンクリートで固められており、屋上から落ちて平気でいられるような場所ではなかった。
それは和もわかっているはずだけれど、大丈夫だと口に出さないと精神的におかしくなってしまいそうなのかもしれない。



