「だ、だからさ、俺たちも……」


え?


と、問い返す前に裕之が身を屈めてきた。


気がついたら目の前に裕之の顔があって、唇に柔らかな感触が降り注ぐ。


ドクンッと心臓が高鳴って体が熱くなる。


少しの間唇を寄せ合い、そして離れたときにはやっぱり照れくさくて互いに視線をそらせてしまった。


周囲に人影はなく、遠くの公園から子供たちの笑い声が聞こえてきている。


「そ、そうだね」


まだキスをするだけでドキドキしてしまうけれど、それはきっと裕之も同じだ。


だって、耳まで真っ赤になっている。


「お、おう」


裕之は曖昧に頷き、私達はまた歩き出したのだった。