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「結局なにも起きずに終わったな」


今日の放課後も私と裕之は肩を並べて帰っていた。


「そりゃそうだよ。あんなのただのいたずらだもん」


噂が本当で、アコの命が危ないなんてことになったらこんな風にのんびり帰ることはできていなかった。


「アコも落ち着いたみたいだしよかったけど、和の反応見たか?」


その問いかけには私は一瞬足を止めた。


実は私も和については気にしていたところだったんだ。


「アコのこと、すごく気にしてたよね?」


アコが落ち込んで自分の席に座ったままだったとき、和は何度も話しかけに行っていた。


アコから返事がないときには返事があるまで声をかけていた。


それを見てもしかしたら、という気がしていたのだ。


「和からなにか聞いてないの?」


「いや、なにも」


裕之は左右に首を振る。


思えば和の恋愛経験とか、好きなタイプを聞いたことがないかもしれない。


少しヤンチャタイプでいつもにぎやかな和だけれど、女性に関してはもっぱら奥手なのかもしれない。