周囲を確認してみても、さっきまでの声の主はどこにもいない。


あるのは隣の空のベッドのみだ。


私は大きく息を吐き出した。


目の前で裕之が死んだことのショックでしばらく入院することになったことを思い出す。


点滴はストレスで全く食べられなくなったことで、栄養を入れられているのだ。


私は目を閉じて深く呼吸を繰り返す。


結局生き残ったのは私だけ。


これから先どうすればいいのか検討もつかない。


裕之が自殺をしたあと、担任教師や警察の人に呪いのメールについて説明したが、当然のように信じてもらうことはできなかった。


それでもイオリの呪いはまだ続いている。


電波を使って、登録されているアドレスに飛んでいく。


どこかでスマホが震える音がした気がして、目を開けた。


院内はスマホ使用禁止だから、病室内で聞こえるはずがない。


きっと私の勘違いだ。


そして、また目を閉じてまどろみはじめる。


今度こそ、みんなの夢を、幸せな夢を見れますように。


スマホのバイブ音はどこからか、ずっとずっとなり続けていたのだった。




END