裕之の騒動が一段落したとでも言うように、みんなが日常生活に戻っていく。


そんな中私はいつまでもその場から離れることができなかった。


叫び声をあげて泣きじゃくりたいのに、それもできない。


都会の片隅で、ただただ無言で涙を流し続ける。


やがて私はスマホをわざと取り落し、それを踏みつけた。


カシャンッと小さく音がして、画面が割れる。


再び踏みつける。


今度はもっと大きなヒビが入った。


三度付見つける。


液晶画面は完全に破れて中の部品がみえた。


「……っ! ……っ! ……っ!」


ガンッ!ガンッ!ガンッ!


歯を食いしばり、涙をこぼしながらスマホを踏みつけ、粉砕する。


そんなことをしても、もう遅いと知りながら……。