死体写真

「だけど結はいなくて、部屋にはスマホだけが残ってた。ロック番号を知ってたから、見させてもらったよ」


裕之の説明に私は唇をかみしめて下を向いた。


スマホを見たのならもう事情は理解しているはずだ。


今から私がなにをしようとしているのかも。


裕之は私の腕を右手で握りしめたまま、左手でポケットをまざぐり、私のスマホを取り出した。


「どうしてそれを?」


「念の為に、持ってきた」


どういう意味なのかわからずに首をかしげる。


すると裕之はスマホを塀の上に置き、器用に片手だけで上がってきた。


裕之の方が15センチは背が高いから、街を見下ろせばまた人々が小さくみえるのだろう、軽く体を震わせた。


「なぁ、結」


私のスマホを手にとり、それを私に握らせる。


私は忌々しいメールが届いているそれを放り投げてしまおうかと思ったが、グッと思いとどまった。


裕之がここまで持って来たのにはなにか理由があるはずだ。


「俺のことを助けてくれてありがとう」