誰かを犠牲にすることで本当に呪いを回避することができた。


裕之を助けることができたのが嬉しい反面、なんの罪もない少年を殺してしまった罪悪感から私は家の中に閉じこもっていた。


今の所あの事故に関して誰かになにかを聞かれるようなことはなかったけれど、目撃者がいなかったとも限らない。


一秒後には玄関のチャイムが鳴って、警察が押し入ってくるのではないかと息を潜めて生活していた。


両親には事故現場を見たとだけ説明して、その後ずっと閉じこもっている。


勝手に事故を目撃したショックのせいでそうなったと思ってくれているみたいだ。


でも、こんな生活をいつまでも続けられるわけがないとわかっていた。


いずれ学校から連絡が入るだろうし、今日で3日目だからそろそろ両親もなにか言ってきそうだ。


あれ以来裕之からの連絡はなにもない。


きっと私のしてしまったことに幻滅しているのだろう。


そう思うと涙がにじみ出てきて鼻をすすり上げた。


ベッドにうつ伏せに寝転んで枕を顔に押し当てる。


なにも見たくないし、聞きたくないし、誰にも会いたくない。


まるで本当の引きこもりになってしまった感じがする。


夜になると毎日少年が私の枕元に立ち、恨み言を呟いてくる。


『どうしてあんなことしたの』


『どうして僕が死なないといけなかったの』