死体写真

☆☆☆

タイムリミットが来るまで決して家から出ない。


夜の間に裕之とそう約束したけれど、私が目を覚ました時隣に裕之の姿はなかった。


窓から差し込む光はすでに朝のそれになっていて、慌てて飛び起きる。


ベッドの横にはまだくぼみの暖かさが残っていて、つい数分前までここに裕之がいたことがわかった。


着るものもとりあえずで大急ぎで部屋を出る。


念の為にリビングやトイレを確認して、裕之がいないことがわかると外へ飛び出した。


裕之の両親はすでに帰ってきているけれど、寝室は静なままだった。


きっとまだ眠っているのだろう。


外の景色はいつもと変わらず、学生やサラリーマンたちが行き交っている。


裕之ならすぐに見つけ出すことができると思っていたが、思っていたよりも人が多くて歩くのにも邪魔が入る。


イライラとした気持ちで裕之に電話をかけてみるけれど、それはつながらなかった。


呪いのせいでフラフラと外へ出たのなら、スマホを持っていない可能性もある。


焦りで額に汗が流れ落ちた時、大きな交差点へ向かう後ろ姿を発見した。


裕之だ!


パジャマ姿のままフラフラ歩いている裕之はどこか異様で、通行人たちはよけて歩いている。


それなのにひとりも心配して声をかけることはしなかった。


「裕之、待って!!」


声をかけるが、裕之は立ち止まらない。


交差点の信号が赤に変わり、すごいスピードで右へ左へと車が行き交い始める。