死体写真

☆☆☆

早退した私達ふたりはそのまま裕之の家に来ていた。


両親は仕事ででかけていて、家には誰の姿もない。


裕之の部屋に入るのは初めてではなかったが、ブルーのシーツをかけているベッドがやけに大きく感じられた。


私はクッションの上に座るのではなく、そのままベッドの端に腰をおろした。


そんな私を見て裕之がカバンを投げ出すと、隣に座ってきた。


体がしっかりと密着する距離感にドキドキするけれど、同時に泣きそうにもなった。


初めての経験がこんな風になるなんて思ってもいなかった。


私と裕之がこれから先もずっと一緒にいる。


そう信じて疑わなかった。


裕之のぬくもりを素肌で感じながら、裕之の息遣いに自分の呼吸を合わせる。


裕之の背中に少し爪を立ててしまったのは、甘い痛みを我慢するためだけじゃない。


自分の証をここに刻み込んでおきたかったからだ。


何度も何度も、野獣のように肌を重ねているうちにだんだんと頭の中が白く霞んでくる。


そのまま泥に沈み込んでいくように、ふたりして手をつなぎ、眠りにおちた。


この瞬間だけは恐怖が消え去り、何者にも邪魔をされない幸せな時間を共有していた……。