しかし、アコ1人だけが笑っていないことに気がついて私は顔から笑みを消した。


「本当にどうしたの?」


「……メールが届いたの」


それは普段のアコからは想像できないほどの小さな声だった。


今にも消え入ってしまいそうな声は、たしかに私の鼓膜を震わせた。


「メールって、もしかして噂のメール?」


聞き返すとアコは頷いて、スカートのポケットから白いスマホを取り出した。


画面に表示されていたのは手足の関節が逆を剥き、血に染まったアコの写真だった。


アコは写真の中で白目をむき、口はだらしなく開かれたまま止まっている。


作り物だとわかっているのに思わず顔をそむけたkなるようなひどい写真だ。


吐き気がこみあげてきてすぐに視線をそらす。


「これはひどいな」


写真を見た裕之が顔をしかめて呟いた。


誰だってこんなメールが送られてきたら気にするに決まっている。


アコが噂のメールについて気にしていたのは、このメールのせいだったみたいだ。


「悪質ないたずらだよ」


隣で青ざめた加菜子がつぶやく。


青ざめてはいるが、友人を傷つけられたことでその目は少しつり上がっている。


「本当だね。こんなの気にしないほうがいいよ」