墓参りなんて意味がなかった。


手を合わせただけではイオリの呪いを解くことはできなかった。


翌日おこならわれ加菜子の葬儀には出席せずに、私と裕之は再び隣町へ来ていた。


「毎日毎日、よく来るね」


コンビニの駐車場でそう言って笑ったのはランだった。


今日は学校へ行くつもりがあるみたいで、制服を着ている。


「加菜子が死んだ」


裕之の言葉にランの表情が一瞬硬直した。


そして「へぇ」と、短く息を吐き出すようにつぶやく。


視線は空へと向いていた。


「昨日お墓参りに行ったけど、それじゃ意味がなかったの。呪いのメールはまだ止まらない」


「……そっか。そうかもしれないね。たったそれだけで解けるような呪い、イオリはかけないかもね」


それはほとんど独り言だった。


ランも驚いてはいるようだけれど、半分はこうなることを予期していたようにも見える。


「俺たちはこれからどうすればいい? 回避する方法があるんだろ!?」


裕之に腕を掴まれてランが顔をしかめた。


つい、力が入ってしまうのもわかる。


次は自分の番かもしれないのだから。


家にいても死ぬ。