学校へ行く準備を進めているとき、ふとテレビニュースの音声が耳に入ってきた。


洗面所で歯磨きをしていた私は手を止めることなく、耳だけを傾ける。


『昨夜、17歳の少女が自宅で首をつっているのが発見されました』


同じ17歳という年齢に思わず手が止まる。


更にニュースキャスターが続けた言葉で、それが隣町での出来事だとわかった。


スッキリとし口腔内を水ですすいでリビングへ戻ると、母親は神妙そうな面持ちでソファに座ってテレビを見ていた。


ニュースはすでに新しいものへ切り替わっていたけれど、さきほどの話題を引きずっているのは明白だった。


「また隣町で自殺ですって」


振り向かずに声を大きくして言ってくる。


「うん。聞こえた」


隣町での自殺は最近相次いでいてニュースになるのはこれで3度目だったはずだ。


そのどれもが17歳前後の男女ばかりで、嫌でも意識してしまう。


「あんたは大丈夫なの?」


ふいに振り向いて聞いてくる母親にドキリとする。