そう呼ばれるたびに、ネロがいることが実感できて嬉しい。 久し振りに兄様と呼ばれた時のなど、顔がニヤけて仕方なかった。 「ネロ、今日は母上が新しい茶葉を仕入れたから一緒にお茶をしようと言っていたぞ」 「そっか、じゃあクフォ兄様も」 「そうだな。一応、兄上たちにも声をかけてみるか」 ネロと手をつないで廊下を歩いていると、メイドたちは微笑ましそうに俺たちを見る。 王城に仕える者たちの中には、 国王一家が一緒にいるところを見ると未だに泣き出す者もいるという。