父上は俺たちの言葉に、少し考えこむ。 「あぁ、分かった。…だが、お前たちも私の大切な息子なんだ。 だから、護衛は少なくとも数人は増やす。…どうか無事でいてくれ」 最後に俺たちにそう告げると、父上は急いで執務室に戻っていった。 ーーそれから、何の手がかりも掴めないまま、日々は過ぎていく。 母上は寝たきりになって、食事も喉を通らないようだった。 兄上と俺も、殆ど会話をすることなく過ごしていた。