「コケッ!」
「コケッコ!」

 そのロボの鳴き声に触発されたのか、ニワトリたちがすっくと立ちあがったかと思うと羽を広げた。

「キュキュキュッ」

 ロボは、ニワトリたちの威圧感溢れる行動に驚いた。

 肩上からふんわりと落下すると「キュッキュッ」と悲鳴らしきものを上げつつ書斎の床をモフモフ転がりはじめた。

「コケッコー」
「コッコッコ」

 ニワトリたちは、ロボのことをミミズか何かと勘違いしたみたい。机から飛び降りるなり、床の上を転がるロボを追い回しはじめた。

 ロボは、逃げまどっている。

「こらっ、やめなさい。わたしのモフモフに何をするの?」

 日頃、運動で鍛えているだけあって、サササッと動ける。いまも家具類を華麗にかわしつつ、あっという間にニワトリを二羽まとめて捕まえた。

 それから、二羽を胸元に抱えて窓に近づくと、身を乗りだして地面におろしてやった。

「さあっ、行きなさい。弱いものいじめはダメよ」

 ニワトリたちに厳しく言うと、窓を閉じた。