荷馬車に揺られ、去って行く二人を見送った。

 アレックスは、著書が入っているであろう紙袋を胸元に抱えている。

「とりあえず、書斎に行きましょう。執筆はそこでしているの。読書しやすいよう、長椅子を置いているから」
「寝転んでするんだよね?」
「よくわかるわね。ということは、あなたも?」
「至福のひとときってやつさ」

 思わず笑ってしまった。

 長椅子にうつ伏せに寝転んで読書。ローテブルには紅茶とクッキー。

 やっぱりこれよね。

 笑いながら、勢いよく書斎の扉を開けた。