早朝の空気は鋭く冷たい。まるで石で磨き上げられたナイフのように、わたしの頬を切りつける。

 って、実際そんなことにでもなったら、血まみれになっていっきにホラーになってしまうわよね。

 湖を見下ろすことの出来る小高い丘の道から森へと入り、森の中を巡ってふたたび湖の見える丘に戻ってくるのが、わたしのお気に入りのランニングコースである。多少アップダウンがあるので、平坦な道を走るより効果がありそうな気がする。それと、なにより景色がいい。

 朝日じたいのきらめきと、その朝日の光を受けた湖面がキラキラ光るこのわずかな間の光景を見るのが大好きなのだ。

 今朝も、湖面のキラキラを堪能した。堪能しつくしたタイミングで、森の中へと入って行く。ここからしばらくは、木、茂み、木、茂み、木、茂みの景色。だから、たいていは小説のプロットを煉ったり情景や光景を思い浮かべたりする。