さいわいなことに、わたしは水を飲んだだけで太ってしまう、という性質(たち)ではない。セシリオの妻であったときには、わざと暴飲暴食をしていた。これぞ太る食材、というものばかりを口の中に入れるようにしていた。それこそ、眠るときとトイレ以外は、始終口をモグモグさせていた。

 小説を書いたり読んだりするときですら、クッキーやマドレーヌなど、片手でつかんだりつまんだり出来るスイーツと、ホットチョコレートや砂糖を大量に投入した紅茶をお供にしていた。

 わたしの胃は、人の三倍も四倍も膨らんでいたに違いない。