玄関にある大きな窓から、夕陽が見えている。その夕陽のせいで、窓から見える木々も地面も玄関もわたしたちも血に彩られている。

 わたし、やめなさい。「血に彩られている」だなんて、そんな物騒な表現はしてはダメ。

 真っ赤に染まっている屋内に、アニバルに招き入れられて第二のゲストが入ってきた。

「まあっ!」

 カルラが叫び声を上げた。

 真っ赤に染まっているのでよくわからない。目を細め、集中して見てみた。

「やあ、先日はどうも。また会えましたね」

 真っ赤っかな中で、片手を上げたようである。

 なんてこと……。

 図書館で出会った小説まんま君だわ。

 やっぱり……。

 これって、偶然じゃなく必然ね。

 わたし、小説の中に入りこんじゃっているかも。