彼が来るまでに準備は整えている。

 アニバルは恰好はだらしないけれど、時間は厳守する。

 ラザニアにサラダ、肉の煮込みに野菜の酢漬け、焼き立てのパンにチーズ。

 彼がわたしにではなくカルラの為にだけ持って来てくれた赤色の葡萄酒によく合う。

 というわけで、三人でテーブルを囲んでずいぶんと盛り上がった。

「ところで、アニバルは今日は宿を手配しているの?それとも、帰るつもり?」

 国境からモリーナ王国の王都までどれだけ急いでも二日はかかる。前回、彼はここに泊まった。その前は街の宿屋に泊まった。

 今回、何も言わなかったので、もしかすると宿屋を手配しているのかと思っている。だけど、一応は客室の準備は整えている。