「クミ」

 アレックスは真っ赤な顔でわたしの前に立ち、再度わたしの両肩をつかんだ。

「というわけなんだ。ぼくは、アニバルからきみの話をきいて興味を持ち、実際に会ってみて、その、確確信した。いっしょに来てくれないか。ぜひとも、きみを王都に連れて帰りたい」
「おおっ!ついに言ったぞ」
「素敵すぎます。感動的だわ」
「殿下、ヒューヒュー」
「主よ。キュッキュキュ―と申しておく」

 アニバルとカルラとドロテロとビッグモフモフが拍手をはじめると、ドロテオが連れてきている私兵たちがいつの間にかエントランスに集まっていて拍手をはじめた。

 あとで知ったことだけど、彼らはなんとかっていう貴族の私兵ではないらしい。国境警備隊の隊員だという。