浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

 アレックスは、きょとんとしている元夫の襟から手をはなした。元夫の問いに答えることなく、わたしの前に戻ってきた。

「アレックス様、すごく素敵でした」

 カルラがアレックスに声をかけると、アレックスは美貌を真っ赤に染めてかるくうなずいた。

「やるな、アレックス」

 アニバルは、親指を立てた。

「殿下、感動ものです」

 ベレー帽の男ドロテオは、なぜか感動している宣言をした。

「キュッキュキュキュー」

 ミニモフモフにいたっては、大理石の床上で飛び跳ねていたかと思うと、いきなりビッグモフモフに変身してしまった。

「主よ。やるではないか」

 モフモフ金狼の大きな体は、この広いエントランスに充分おさまっている。

 これがわたしの別荘だとしたら、モフモフは確実にカルラに血祭りにあげられたことでしょう。

 古くてそんなに大きくない別荘の玄関は、木っ端微塵になったでしょうから。