アニバルとアレックスは、気弱な笑みとともに頭を下げた。

「なに?こんなの、とんでもない話だわ」

 思わず、口から言葉が飛び出していた。

「クミ、まだあるんだ。王都に連れ戻すのは、アレックスだけじゃない。きみもなんだ、クミ」
「えええええええええっ!うそおおおおおおおっ」

 アニバルの「きみもなんだ、クミ」という台詞が、頭の中でこだましている。

 どうして?なぜ、わたしまで拉致されなきゃならないの?