あら、どうやらアニバルのひとり舞台みたいね。

 さすがよね。アレックスの使い走りである彼は、小説の中で表現するところの小悪党的存在の彼らのことも把握しているのね。

 じゃあ、先程の自称「慈善活動家」の「色男さん?」に対するボケっぷりは、前フリ的なものだったのね。

「なんなの、この小太り?」
「どうした、ハニー」

 自称「慈善活動家」は、アニバルのひとり舞台が気に入らなかったみたい。

 彼女が官能的な唇をへの字に曲げたとき、建物内からあらたな人物が出てきた。

 その男性はお風呂に入っていたのか、あるいは何らかの運動をしていたのかはわからないけれど、上半身裸で右肩にタオルをひっかけている。