「アレックスッ!」

 アニバルの叫びも虚しく、あっという間に彼の姿は食堂の外へと消えてしまった。

「ねぇ彼、どうしちゃったのかしらね?」

 椅子の背に背中をあずけつつ、だれにともなくつぶやいた。

「そうですよね」

 カルラは両肩をすくめた。

「もしかして、お腹でも痛くなったのかしら」
「お嬢様、さすがですね。きっとそうですよ」
「美貌の持ち主って、『うんこ』をしたくなってもカッコつけるんですもの。それか、王太子だから?どちらにしても、『うんこ』をガマンするって大変よね」
「お嬢様。食事をするところで『うんこ』だなんて、はしたないですよ」
「ごめんなさい。そうよね。だけど、『うんこ』ネタって作中でスパイス的に使えばけっこうウケるのよね」