「元夫だって?きみは、その若さで結婚していたのか?」
「あら、言わなかったかしら?結婚っていっても、皇族との約束の仕方のない結婚だったの。だから、そこに愛とか情とかはいっさいなかった。小説でもあるあるでしょう?元夫は、控えめにいっても女たらしなの。アレックス。あなたの「白ユリの楽士」のセシリオと……。あああああああっ!」

 そこまで言ってから、とんでもないことに気がついてしまった。

 っていうか、どうしていままで気がつかなかったのかしら?

 てへっ。わたしってば、とんだうっかりさんだわ。