「ベレー帽の男の(あるじ)が、殿下暗殺の命令を撤回したとか?」
「ちょっ……。ぼくの暗殺?」
「お嬢様、暗殺ってかぎらないじゃないですか。まぁ、それは暗殺の方がずっと「らしい」ですし、ある意味カッコいいですけれど」
「カルラ、なかなかいいかんがえだ」
「ありがとうございます、アニバル様」

 わたしたちは、モリーナ王国の国境に近い街に立ち寄った。

 宿兼食堂があったので、そこで休むことにした。

 二部屋取り、ひと眠りする前に朝食をいただくことにした。

 食堂は、街の人たちでいっぱいである。うまい具合に窓際の四人掛けのテーブル席が空いていたので、そこに陣取り、朝食のセットを注文した。