「決まっているでしょう?ちゃんと自分の任務というものを見つめ直してちょうだい。すべては、それからよ。色欲に目がくらんでいる間は、まともに任務をこなすことは出来ない。それが、小説のセオリーよ」

 カッコよくキメてみた。

 それから、ベレー帽の男とその手下たちに背を向け歩きはじめた。

「また会えるのを楽しみしているわ。つぎこそは決着をつけましょう」

 すでにアニバルとカルラは馬車に乗っている。

 アレックスに合図を送り、同時に馬に跨った。

「さようなら、使い捨ての駒さん」

 最後にもう一度顔だけうしろへ向け、心をこめて別れの挨拶をした。

 そうして、わたしたちは颯爽とこの場を去った。