「ちょっと待ってよ」
「なんだと?」

 わたしとベレー帽の男の言葉がかぶった。

「クミ。おれはいま、あいつと話をしているんだ……」
「わかっているわよ。だけど、あのベレー帽の男、わたしを誹謗中傷したばかりかあーんなことやこーんなことをしようとしていたのよ。それなのに、黙っていられる?ねぇロボ、あなたも見聞きしたわよね?」

 チラリと右肩上のミニモフモフを見てから言葉を続ける。

「な、なんだって?あ、あーんなことやこーんなこと?」

 突然、アレックスがワナワナと震えだした。

 きっと想像しているのね。さすがはスケコマシだわ。

 レディとしては、そんな彼の想像を邪魔するべきじゃないわよね。