「わたしの黒歴史よ。とにかく、縁ですもの。殿下、縁と思って遠慮なく遺稿を任せてくれていいわよ」
「……。いや、何か違う気が。っていうか、すっきりしないんだけど……」
「いいからいいから。ドンと任せてちょうだい。だったら、ますます改稿中の原稿もプロットも必要だわ」

 というわけで、進路は決まった。

「それに、危険を承知でアジトに戻るっていうのも小説の中では当たり前だし」

 あるあるよね。

 読者は「なんでアジトになんて戻るのよ?」っていうことになるんだけど、盛り上げる為には必要不可欠だから付き合ってね、っていうことになるわけなのよね。

「読者様、ほんとにごめんなさい」

 って感じね。

「いや、そんな問題かな?ぼくのわがままだから、強くは言えないけれど」

 街の方へと馬を歩ませながら、右肩上のロボに話しかけた。