「殿下、ごめんなさい。わたしなんかが殿下の遺稿を手掛けるなんて、殿下のこれまでの作家としての偉業を地に貶めることになるわよね。だけど、これも何かの縁と思わない?わたし、縁ってすごく大切だと思うの。まぁ、元夫との縁だけは例外だけど」
いつの間にか街と湖への分岐点にさしかかっていた。
「なんだって?クミ。きみは、結婚していたのかい?」
アレックスが馬を並べてきた。
彼のその尋ね方があまりにも白々しかったけど、そこは気がつかないふりをした。
アニバルは、わたしのことを作家としか話していないと言っていた。
だけど、話しているのはそれだけじゃない気がする。
まっ、隠すつもりはまったくない。だから、アレックスが知っていてもいいんだけど。
いつの間にか街と湖への分岐点にさしかかっていた。
「なんだって?クミ。きみは、結婚していたのかい?」
アレックスが馬を並べてきた。
彼のその尋ね方があまりにも白々しかったけど、そこは気がつかないふりをした。
アニバルは、わたしのことを作家としか話していないと言っていた。
だけど、話しているのはそれだけじゃない気がする。
まっ、隠すつもりはまったくない。だから、アレックスが知っていてもいいんだけど。