グレンデス公爵家の執事やメイドや料理人や雑用人たちが、興味津々というよりかは「ざまぁみろ」と悪意のある表情で見守っている。

 この場にいる全員が、このデブで不細工で性格が悪いこのわたしがどう反応をするか、楽しみにしているのを感じる。

 落ち着くのよ、わたし。

 彼が結婚前から平気で浮気をしていることは知っている。わたしだけでなく、だれもが知っている。知らない人の方がいないくらい、だれもが知っている。ついでに、いつかわたしが離縁されることもだれもが知っている。
 推測や噂の域をでない。そんな不確かなことではない。ぜったいに離縁されると、だれもが知っている。ただ、その具体的な時期がわからないだけだった。

 唯一、だれもが知らないことがあるわね。知らないというよりかは、絞り切れないということかしら。

 それは、彼が数いる浮気相手の中のどのレディを選ぶかということ。