「ではまず、ぼくの来歴から……」
「あ、いや、待て。アレックス。きみが説明したら、三巻分くらいになりそうだ。だから、おれがするよ」
「……。アニバル、そうかもしれないね。それにこの一連のことは、ぼくのジャンルじゃないしね」

 そうなんだ。わたしが知りたいことは、すくなくとも恋愛系の話じゃないのね。

 アレックスが恋愛系で起こしたイタイことの為に、あの四人の男たちは彼を捜しているわけじゃないわけね。

 アレックスのことをかなり疑っていたので、ちょっとだけ安心した。

 安心したことに、自分でも驚いてしまった。

「じゃあ、おれから説明させてもらう」

 アニバルは、ヨレヨレのシャツの襟をムダにひっぱって皺を伸ばそうとした。

 もっとも、どれだけ伸ばそうとしてもヨレヨレはヨレヨレのままなんだけど。