浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

「あ、いや……。彼女が連中に狙われたからだ」
「なんだって?」
「なんだって?」

 アレックスとアニバルが同時に叫んだ。驚きの表情でこちらを向いたのも同時だった。

「くそっ!」

 アレックスが右の拳で左の掌を殴った。

「意外とはやかったな。昨夜、念のためここに戻る途中に隠れ家によってみたが、怪しい人影はなかった」
「というより、なぜ彼女が?」

 アニバルとアレックスは顔を見合わせ、またこちらを向いた。

「おまえが姿を見られたのだ。美貌の男が変わり者の家に行くのを見かけたとかなんとか」
「変わり者?」

 アニバルがわたしを見た。