「ったくもうっ!もっと歯ごたえのある物のほうがいい。それに、熱すぎる。フーフーして冷ましてくれれば別だが」
「なんですって?愛情いっぱいこめて作ったのに」

 カユラは、いっちょ前に批評したロボに対して怒り狂っている。

「そうよ。完食しているじゃない」
「ああ、いや、その……」
「ロボの負けだ。たしかに、いまのはいただけないな。カユラの料理にケチをつけるなんて、信じられん」
「おい、おまえまでそのようなことを申すのかっ」
「まぁまぁ、アニバル、ロボ」

 アレックスはアニバルとロボの不毛な言い争いを止めてから、真剣な表情で尋ねた。

「ロボ、それで?レディたちの前では、強面モフモフではなくキュートなモフモフで通すんじゃなかったのかい?」
「そのレディが……」

 ロボがこちらを向いた。だから「そのレディ」の「その」にあたるのが、わたしのことだと気がついた。

「なによ?」

 思わず、やさしい眼差しを送ってしまった。