「うるさいわよっ」
「だまれ、人間(ひと)っ!」

 思わず、巨大モフモフと同時にやんわりと注意してしまった。

「わかった。わかったから。ならば、おまえの心は覗かぬようにする」
「ちょっと待って。覗いて欲しいときがあるかもしれない。たとえば、他の人に内緒にしておきたいようなことをあなたにだけは知らせたいとか、本音をしってもらいたいとか。そういうときは許すわ」
「な、なんだと?そのように都合よく読めるか。そういうことをワガママと申すのだ」
「ごめんなさい。たしかに、ワガママよね。だけどほら、やっぱりビミョーなときがあるのよ。ほら、いまよ。いま、このタイミングよ。こんなときに心の中を読んで欲しいのよ。だから、いまは読んでちょうだい。ねっ、お願い」
「なんて聖獣使いの荒い女だ」

 やだ、可愛い。憎まれ口なんて叩いちゃって。

 巨大モフモフのでっかい狼面のつぶらな瞳がわたしを見つめている。