「美しい女主人と変わり者のメイドがいる、ときいた。変わり者と言えば、おまえくらいだろう?」

 ちょちょちょちょっと……。

 あのベレー帽の男、ぶっ飛ばしてやりたいわ。

 元夫のセシリオのことは、事あるごとに頭の中で何千回とぶん殴ったりぶち殺したりしている。

 あいつも同様にぶちのめしてやりたいわ。

 もちろん、気の弱すぎるわたしにそんな野蛮きわまりない行為が出来るわけがない。

 書くことは出来ても、である。

 現実には、行為どころか怖すぎて口をきくことすら出来ない。

「ちょっと、いまのどういうこと?変わり者って、他のレディのことを言っているのよね?」

 もしかしたら、心の声が漏れたかもしれないわ。

 その心の声をきいたのね。狩猟用の帽子をかぶっている三人が、おたがいに顔を見合わせた。