浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

「おいっ、女っ!」
「クソッ、なんて逃げ足の速い女なんだ」

 連中はすぐに追いついてきた。

 ムダに怒りまくっている。

「なにかしら?」

 すました顔で尋ねた。とはいえ、顔は汗まみれになっているけれど。いいえ。顔だけでなく、全力で走り続けたから全身汗まみれね。

「なぜ逃げた?」

 ベレー帽の男が尋ねてきた。

 この男が、連中の中ではまだマシな方かしら。

「『なぜ逃げた?』ですって?当然でしょう?四人の男が馬で向かってきたら、逃げるにきまっているわ」

 あっもしかして、フツーのレディは怖くて固まってしまうのかしら?いまの言い訳は、ムリがあったかしらね。