「愚痴でも文句でも弱音でも強がりでもなんでもきくわよ。もちろん、わたしもきいてもらいたいし。これはわたしたちにしかわからないし、感じられないことでしょう?こんなことを言える相手が出来て、わたしたちって幸運よね」
「ああ、そうだね。幸運だよ。それに、そんなふうに言ってもらえて光栄だよ」
「わたしもよ」
「おっと、話はズレてしまったけど、とにかくきみが心をこめて作ってくれたクッキー。それと、淹れてくれたローズティー。どちらも最高にうまいってことを言いたかったんだ」
「ありがとう。社交辞令だとしてもうれしいわ。褒めてもらうなんて、そうそうないから」
「社交辞令だなんて、ぼくはそんなに器用じゃないよ」

 彼のやわらかい笑みに、こちらも笑みを返す。