「横柄で不親切で思いやりのない態度に加え、その醜さはなんだ。デブで不細工で性格が悪いなどと、最低な女だ。おまえにくらべ、このビクトリアの美しいこと。しかも、聖女のように穏やかで親切で気遣い抜群だ。この二年、夫婦でいてやっただけでもありがたく思え。おまえなど、顔も見たくない。すでに皇族の許可を得、手続きはすんでいる。おまえを離縁する。さっそくビクトリアが移ってくるからな。荷物をまとめてとっとと出て行け」

 不倫相手のビクトリアを侍らせて堂々と宣言したのは、つい先程まで夫だったセシリオ・グレンデス公爵である。

 ここは、グレンデス公爵家のエントランス。彼は、ビクトリアを連れて堂々と戻ってきた。そして、わたしをここに呼び出して先程の宣言をした。